プロも驚いた直感。あえての「天井」、まさかの「黄色」。
和室2026年04月/埼玉県/施工面積: 39.1㎡

プロも驚いた直感。あえての「天井」、まさかの「黄色」。
works_#001 | 埼玉県・
はじまり
「叔父さん、ウチのリビング、天井に漆喰を塗れるかな?」
埼玉県にお住まいのTさんからそんな相談を受けたのは、現役でアトリエ設計事務所を主宰する“叔父さん”でした。実はこの叔父さん、村樫石灰の東京ギャラリーとショールームが入るマンション棟の設計監修も手掛けたプロフェッショナル。その建設現場で、既存の壁紙(クロス)の上から直接ロー ラーで塗れる漆喰『ベル・エポック』の施工の一部始終を目の当たりにしていました。「漆喰=下地作りや養生が大変で、腕のいい職人の手配も必要。後々のメンテナンスも含めて高額 になりがちな手強い建材」
そんな設計のプロとしての先入観が、手軽に、探求された美しさに仕上がるベル・エポックの登場で 見事に払拭されたばかり。これは仲間や後輩にも伝えていきたい!と思っていた矢先の、大切な 姪っ子さんからのご相談だったのです。
築14年のリビングと、大いなる2つの「想定外」
Tさんのお住まいは、大手ハウスメーカーで建てられた築14年の鉄骨造。車が通る道沿いに建ってい ることもあり、長年の建物の揺れによる壁紙の割れや、14年分の暮らしの汚れが少し気になり始め ていました。
ワンちゃんと一緒に暮らすリビングは、Tさんにとって特別な空間。多彩な趣味をお持ちで、美しいク ラシックなティーセットでお茶を楽しまれたり、先生を招いてハープのレッスンを行ったりと、高い美意識に包まれた穏やかな時間が流れる場所です。
そんなリビングの一部を漆喰にリニューアルしたい、というご相談。設計施工チームも、当然「壁面」を塗るものだと思っていました。なぜなら、天井の塗装は重力に逆らうため施工が大変で、養生のハードルも高いからです。しかし、Tさんの口から出たのは「天井を塗りたい」という予想外の一言でした。「だって、お気に入りの家具や壁のディスプレイ、テレビを全部動かすの、面倒くさいじゃない?」ベル・エポックはDIYで素人でも扱える漆喰塗料ですが、Tさんは「やるなら全てプロにお任せしたい」というタイプ。それが故に、住みながらのリフォームにおいて最大のネックとなる家具移動を避けつつ、自分では絶対に手が届かない「天井」を塗るという、固定概念にとらわれない斬新なアイデアを思いつかれたのかもしれません。
しかも、空間全体の空気を浄化・調湿するという漆喰の特性を考えれば、「部屋の一番上で空気を包 み込む天井」に漆喰を施すのは、理にかなった素晴らしい選択なのです。
悩んだ末にTさんが選んだカラーは、温かみのある淡い黄色の「バターイエロー」。設計施工含む 「しっくい専科」メンバーはこれにも驚きましたが、この直感的なチョイスが、後ほど空間に魔法をかけることになります。
職人の見せ場。「工事の6割は、塗る前の準備」いよいよ工事当日。今回の施工面積は、リビングの天井と、階段下のトイレ(壁・天井)を合わせて約 40㎡。2人の職人さんで仕上げていきます。
「住みながらの施工」で一番大変なのは、なんといっても「養生(保護)」です。家具や床をすっぽりと覆い、作業スペースを確保。さらに天井を見上げれば、照明器具、空調、給気口、火災報知器など、 実にさまざまな設備がデコボコとついています。これをひとつずつ、丁寧にマスキングしていくのです。
さらに下塗り(シーラー)の前にもう一つ「もれ止め」という大切な工程が待っています。天井と壁の境 目(入隅)に塗料が滲んで線がヨレヨレになると、仕上がりがとてもカッコ悪くなってしまいます。その ため、ハケを使って境目をピシッと丁寧に塗っておくのです。
また、Tさんが気にされていた建物の揺れによるクロスの割れ。こちらはボンドコークを用いてしっか りと補修を施しました。(※ただし、建物の構造上の揺れによる割れは同じ箇所に再発する可能性があるため、事前に しっかりご説明し、ご了承いただいています)
気がつけば、少し遅めのお昼休憩の時間。「えっ、まだ全然塗ってないのに?」と思われるかもしれませんが、実はこの「塗装するまでの入念な準備」こそが、工事の6割(半分以上)を占める職人さんの最大の見せ場なのです。
呼吸する壁を育てる「オープンタイム」
午後からは、いよいよ本塗りです。ベル・エポックは「下塗り」「1回目仕上げ」「2回目仕上げ」と計3回塗り重ねていきます。ここで重要になるのが「オープンタイム(乾燥時間)」。天候や気温にもよりますが、各工程の間に90〜120分ほどの乾燥時間をしっかり取る必要があります。 職人さんたちは10時と15時頃に必ず小休憩をとりますが、実はこの休憩も、ただ休んでいるわけではなく「2回目を最初に塗ったところから順に塗り進めるため、オープンタイムの待ち時間を計算した無駄のないスケジュール」に組み込まれているのです。階段下という狭くて身動きの取りづらいトイレ の施工にも地味に苦戦しながら、職人さんの見事な連携プレイで、無事に1日の工事が完了しました。
暮らしに寄り添う「バターイエロー」と、漆喰の力
完成したリビングを見て、Tさんも大喜び!心配していた「バターイエロー」は、驚くほど空間に馴染んでいました。クラシカルなダークブラウンの家具を優しく引き立て、まるでヨーロッパの邸宅のような温 もりと上品さが漂っています。
実はこちらのリビング、14年前の新築時からディスプレイカップボードのある壁一面だけは「漆喰仕 上げ」になっており、Tさんはすでに漆喰の良さを体感されていました。今回、面積の広い天井をすべてベル・エポックにしたことで、その効果はさらに劇的なものに。
後日、肌寒さの残る4月上旬にTさんから嬉しいご報告が届きました。「石油ストーブ、あの嫌な着火臭が明らかにしないの!」 さらに、トイレに施したクリーンな「アッシュホワイト」も大好評。「施工後1週間くらいは少し独特の匂い がしたけれど(※ペンキのような刺激臭ではなく自然素材特有の匂いです)、それが消えた後は、トイレ特有の気 になる匂いが全然しなくなって本当に快適!」とのこと。
加えて、「人が来る時は事前にトイレの窓を開けて換気していたのですが、その必要がない感じです」と、漆喰が持つ確かな消臭効果を実感されているご様子。来客時のちょっとした気遣いがなくな るのは、暮らしの中でとても嬉しい変化ですよね。
工事のためにお片付けをして移動できるものを動かした効果もあるかもしれませんが、「以前より声やハープの音がよく響く気がする」とのことで、レッスンに来られたハープの先生からも「すごく響きが 良くなった」とお墨付きをいただいたそうです。
プロの常識を覆す「あえての天井」、そして「バターイエロー」。住み手の自由な発想と、自然素材の 力が合わさって生まれた、心地よく美しい暮らしの風景です。
「しっくい専科」でも「これはありでしたね。天井の施工というのと、バターイエロー」と話題になっています!
T様、これから先も、このお部屋でさらに充実した豊かな時間が流れますように。
✎ この記事を書いた人 しっくい専科 空間設計士:ワッチー
施工詳細
施工概要
- 施工日時
- 2026年04月
- 施工期間
- 1日間
- 施工エリア
- 埼玉県
- 施工面積
- 施工面積: 39.1㎡
- 漆喰の種類
- ベル・エポック
- カラー
- バターイエロー、アッシュホワイト
費用内訳
- 材料費
- 34,000円
- 人件費
- 60,000円
- 下地処理費
- 10,000円
- 諸経費
- 5,000円
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